福外科病院
主な疾患と治療
内視鏡的治療が必要なポリープ
早期癌やまだ癌化していないような腺腫が治療の対象となります。進行癌は適応外です。早期癌でも大きさが2〜3cmを超えるもの(癌の深達度が粘膜下層に中程度以上に浸潤したもの)やリンパ腺転移にともなうものは適応外となることがありますので病理組織検査(精密検査)をまずおこなってから内視鏡的治療が可能か判断します。治療は後日となります。
治療手法
ポリペクトミー:主に隆起型病変に対して行われる方法です。ポリープの基部にスネアという楕円のワイヤーを掛けて絞めた後に高周波電流で切除します。
スネアかける スネアしめる 切り取る
スネアをかけます。 スネアを
締めつけます。
切り取ります。回収して組織検査を行います。
粘膜切除術:直接スネアを掛ける事が困難である扁平あるいは陥没したポリープが適応です。まず、病変部の下に生理食塩水を内視鏡的に局所注射して、周辺を含めて病変全体を隆起させて、そこでスネアを掛けて高周波電流で通電して切除します。ポリペクトミーより広範囲に切除ができるので早期癌や癌化する可能性の高いポリープも適応となります。切除後は痛みは無く歩行も可能です。
生食注入 スネアかける スネアしめる 切り取る
生理食塩水を注射して持ち上げます。 スネアをかけます。 スネアを
締めつけます。
切り取ります。回収して組織検査を行います。
偶発症状について
出血や穿孔(せんこう=消化管に穴が開くこと)が考えられます。発生頻度は出血が1%、穿孔は0.05〜0.1%と言われています(日本内視鏡学会の全国統計報告より)。
予防として
1)切除断端をクリップで内視鏡的に縫合する。
2)止血剤の内服や点滴。
3)腸内安静のために食事療法を行う。
なお、穿孔した場合は程度により外科的治療(開腹手術)を要することがあります。また、他院で血栓溶解剤(パナルジン、アスピリン、ワーファリンなど)を内服されておられる方は事前に中止する必要がありますのでご相談ください。
入院期間
最近では日帰り治療が行われることもありますが、切除後3〜5日の遅発性の出血や穿孔例が報告されていますので、ポリープの数や形態によって判断します。早期癌以外は1〜7日以内です。なお、治療を受けられた方は当日の食事は腸管安静のため流動食、もしくは病状により絶食となりますので、ご了承下さい。
手術症例集
訪問看護ステーション